設立趣意
現在、子どもたちの「居場所」であるべき家庭の在り方が、様々な状況によって大きく変化しています。
近年の景況による家庭の経済的事情の変容。価値観の多様化。本来の学校、地域の在り方の変化。何世代にも渡る核家族化は家族の孤立を深め、子育てをする親の孤立も更に深めています。家族は不安を感じ、精神的な余裕のなさを生み、親子の距離感を崩し始め、家族一人ひとりの役割が損なわれていきます。それは、子どもへの過干渉、無関心、虐待へと繋がる可能性を含みます。
このような家族の役割の崩壊の中、子どもたちは自分の居場所を探し始めます。しかし、自ら居場所を探すことの困難さから、ひきこもり、不登校、徘徊、非行などの問題を抱えることになります。他人と関わることを苦手とし、殻に閉じこもる傾向のある思春期の子どもたちは、本来、大人と子供の世界を行き来しながら、家庭や学校、地域で育っていくものです。しかし、不安を抱え居場所を探し続ける子どもは増えています。
私たちは、子どもたちが多くの仲間や大人に出会い、互いに支えあい、ひとりでないことを感じ、信じあえる環境を作り、少しの経験を通して達成感を感じ、そして、悩みながら、生きていく目標を見つけ、生きるための力をつけられるように願っています。
彼らの叫びをしずかに受け止め、受け入れ、一人ひとりをどのように支えられるかを模索し、彼らが「生きる」意味を見出し、「自立」への手助けをするために、青少年の居場所Kiitos を設立いたします。
代表挨拶
青少年の居場所Kiitos 代表の白旗眞生です。
多くの子どもたちと時を共にして、まもなく45年になります。
その間、社会状況が大きく変わり、弱者である子どもたちがそのしわ寄せを受けているように感じます。
近年、国の政策は子育て支援、高齢者支援に力を注いでいますが、中学生、高校生を中心とした年代が持つ問題にはまだまだ私たちが望んでいる段階までには至っていないように思います。
「思春期」はとても難しいと言われる世代です。親子の関係、学校、社会、友人との関わりが成り立ちにくい状況です。何故なのかと考えてみますと理由は確かにあるように思いますが、そのことを追求することよりも、今、苦しんでいる子どもたちを支援することの重要さを痛感しています。自分のことを嫌いと思っている子どもたちが、なんと多いことでしょう。自己評価は3才までに作られると言われています。“ 十分な安心感” を得られれば、子どもは自立していきます。
残念ながら自立出来ず悩んでいる子どもたちが多く存在している事も事実です。
自立に向けて一人ひとりのプログラムを用意し、三歩前進、二歩後退を繰り返しながら、見守り、「待つ」。そのことが大切な関わりと考えています。そのように見守ることで確実に子どもたちが変わっていくことを、私は多くの子どもたちとの関わりの中で教わりました。
Kiitos の存在をより多くの方々に知って頂き、ご賛同頂ければ幸いです。
Kiitos とはフィンランド語で「ありがとう」の意味です。小さなスペース、Kiitos にいつも笑顔とありがとうが絶えぬように。
プロフィール
■白旗 眞生(しらはた まき)略歴:
昭和24 年11 月、山形県酒田市に生まれる。昭和48 年、国立音楽大学教育音楽科卒業。
卒業後、自宅でピアノ教室を開く。多くの生徒を指導し、知的障害や発達障害の生徒も受け入れ、子どもたちへの指導と共に保護者のサポートを行う。
平成9 年、ルーテル学院大学文学部へ社会人入試を経て、入学、心理学を専攻する。平成12 年同校卒業。
平成13 年から平成16 年まで練馬区にて民生委員を務める。
平成14 年8 月、相談室「楽」を立ち上げ、様々な問題を抱えた思春期の子どもたちやその保護者の相談を受ける。
平成17 年より2年間、和光市立第四小学校にて、発達障害の生徒の介助員として勤務。
平成19 年、NPO 法人調布子どもネットが主催する青少年ステーションCAPS のカウンセラーとして勤務。
平成22 年3 月退職。
平成22 年7 月、青少年の居場所Kiitos を設立。